家計のヒント

暮らしの中のおトクな情報を発信していきます。

もらえるお金、使える制度、節約のコツなど、すぐに役立つ内容です。

共働き夫婦の家計管理

 共働き夫婦からの家計に関する相談が年々増えています。

 共働き世帯はお互いの収入を別に管理していることが多いようです。その上で、家賃や水道光熱費は夫、食費と日用品は妻などと費目別に負担する、あるいは生活費としてそれぞれが15万円ずつ出し合い、それ以外のお金は自由に使う─といったルールを作っています。

 このように負担のルールだけを決め、お互いの収入や貯蓄がいくらあるか具体的に把握していないケースが少なくありません。

 負担ルールだけを決めている場合、毎月の収入が支出を上回っている間は特に問題になりませんが、住宅購入などの大きなイベントがあったり、出産や転職、病気などで収入が減ると、家計のバランスが崩れてしまいます。

 中には「自分は貯蓄していなくても相手がしていると思っていた」と、家計に関するコミュニケーションが不足していたために、住宅購入を断念することもあるようです。

 家計管理の方法としてシンプルなのは、お互いの収入や貯蓄を合わせて一元的に管理していく方法です。例えば、スマートフォンやパソコンの家計簿アプリのアカウントを共有し、互いに家計を確認できるようにするのです。無駄な支出も減らすことができます。

 また、夫婦がそれぞれ収入の何%を拠出するか決めておくのもよいでしょう。収入が多い方の比率を高めにし、合算金額の範囲内で生活費予算を組みます。このようにお互いに収入を明確にしていれば、転職などで収入が減った場合などでも、負担見直しに困ることは少ないでしょう。

 共働き世帯が家計を上手に管理するには、住宅や車の購入、子どもの進学、老後資金などの今後控える大きな支出に備えた貯蓄が必要です。具体的な貯蓄金額も夫婦で共有し、目標額をいつまで、どのようにためていくのか、定期的に話し合う機会を持つようにしましょう。

 

2023年(令和5年)10月3日(火曜日) 北海道新聞 おうちの経済 掲載

暖房費の節約術

 エネルギー価格の高騰に伴い、暖房費が家計を圧迫しています。コープさっぽろが札幌地区に配達する灯油の平均価格は、昨年10〜12月が1㍑105円だったのに対し、今年の同時期は118円と大幅に上昇しています。本格的な冬を迎えた北海道でできる暖房費節約のポイントを紹介します。

 まずは暖房器具の設定温度。エアコンの設定温度を1度下げると、消費電力が10%削減できると見込まれます。環境省が推奨する室内の設定温度は20度です。

 しかし、単純に室温を下げると健康を損ねることにもつながりかねません。部屋の暖気を逃さないようにしたり、体感温度が下がらないようにしたりする工夫が必要です。

 断熱性の高い窓にするなどのリフォームは効果的ですが、コストがかかります。そこで窓用断熱シートを貼ったり、カーテンを厚手のものに替えたりするなどの手だてを考えてみてはいかがでしょう。

 湿度にも着目しましょう。コロナ禍で、空気清浄機を購入したご家庭も多いと思います。加湿機能があれば、部屋の湿度を40〜60%にすることにより、体感温度を上げることができます。洗濯物を部屋干ししても、同様の効果があります。

 道内ではなじみが薄いですが、こたつもお勧めです。消費電力300〜600㍗程度で、手足を効率よく温めてくれます。こたつの下に厚手のカーペットや断熱シートを重ねて敷くと、保温効果が高まります。

 昔ながらの湯たんぽも省エネ暖房器具です。布団に入れるだけでなく、日中も腰に当てたり膝の上にのせたりすると、冷える部分を温めることができます。このほか、保温機能が高い下着も注目されています。

 工夫を重ね、節約しつつも暖かい冬を目指しましょう。

 

2022年(令和4年)12月20日(火曜日) 北海道新聞 おうちの経済 掲載

子供の教育資金を貯めるには

 お子さんが生まれ、「将来の教育資金をどう貯めていくか」と頭を悩ませている方も多いと思います。物価高で家計が苦しい中ですが、教育資金の準備はできるだけ早いうちに始めたいところです。

 子どもが誕生すると児童手当の対象となります。(所得制限があります)。1人あたり月額で3歳未満が1万5千円、3歳から小学校修了前まで1万円 (第3子以降は1万5千円)、中学生は1万円が支給され、総額は198万円となります。これを家計と同じ口座に入れると生活費に回ってしまうので、教育資金として別口座に移すか、金融商品などにして積み立てていくとよいでしょう。

 預貯金だけでなく学資保険のほか、少額投資非課税制度(NISA)、つみたてNISAなども活用すると効率良く運用できます。2019年から幼児教育・保育が無償化され、小学校就学前までの親の負担が軽くなっているので、この間に多めに積み立てると将来の教育資金を無理なく準備できます。

 高校までにかかる教育費はその都度、家計から捻出し、積み立てている教育資金は大学進学後の4年間で必要となる費用に充てます。国公立大なら300万円、私立大なら400万〜500万円を目標に貯めたいところです。

大学の納付金の平均額

  授業料 入学金 施設設備費 4年間の合計
国公立大 約54万円 約28万〜39万円   約243万〜255万円
私立大文系 約80万円 約23万円 約15万円 約400万円
私立大理系 約112万円 約26万円 約18万円 約543万円

 学費以外にも、進学先が遠方の場合は、受験や通学の交通費や生活費の仕送りが必要となります。お子さんが進路を考え始めたら、進学後いくら必要になるのか早めに調べましょう。

 また、総合型選抜などの場合は一般入試よりも入学金を収めるタイミングが早くなります。すぐにお金が用意できるように、受験時に合格発表時期を確認しておきましょう。準備が難しければ早めに教育ローンを組むことも検討します。

 学費が足りない場合は、お子さんが奨学金を借りることも含めて、進路とお金について親子でしっかり話し合うことが、お子さんの精神的な自立にもつながっていきます。

 

2022年(令和4年)8月23日(火曜日) 北海道新聞 おうちの経済 掲載

知っておきたい葬儀の費用

 コロナの感染リスクへの懸念や少子高齢化から、近年の葬儀は家族葬が増加しています。家族葬とは、家族を中心に親族やごく親しい知人・友人明けが参列して行う小規模な葬儀のことで、最近では低価格のプランも増えています。

 葬儀費用で確認しないといけないのは、葬儀社が提示したプランにどこまでの費用が含まれているかということです。葬儀費用は祭壇の規模や人数で大まかな金額が決まりますが、遺族の宿泊料や食事代、会場使用料や宗教者へのお礼などは含まれていないことが多く、「他にも細かいオプションを追加したら想定していた金額を大幅に上回った」という話もよく聞きます。できれば早い段階で複数の葬儀社の見積もりをとることをお勧めします。

 また、僧侶や寺院へのお礼をいくら包むか悩む場合は、直接僧侶に聞いても失礼にはあたりません。聞きにくいようでしたら、葬儀社や檀家総代に相場を教わるとよいでしょう。

 葬儀費用は一度にまとまった金額が必要になので遺族には負担となりますが、遺産分割が終了する前でも「遺産分割前の相続預金の払戻制度」を使って故人の預貯金を一定金額まで引き出すことができます。詳細は故人の口座のある金融機関に確認してください。

 生前に自分の葬儀費用を準備するのであれば、生命保険が有効です。喪主になるご家族を受取人に指定すれば、受取人はすぐに保険金を受け取って葬儀費用にあてることができます。

 亡くなった後で健康保険から受け取れるお金もあります。故人が国民健康保険や後期高齢者医療制度に加入していた場合は葬祭費(北海道は3万円)が、会社員などで健康保険に加入していた場合は埋葬料(協会けんぽは5万円)が支給されます。申請の有効期限は2年ですので、忘れずに申請しましょう。

 

2022年(令和4年)3月29日(火曜日) 北海道新聞 おうちの経済 掲載

支出を見直し家計を守る

  「コロナ前に比べ相談件数が2割ほど増えた」と話すのは、くらし面の「おうちの経済」の執筆者の一人で、 ファイナンシャルプランナー(FP)の加藤桂子さん。

 「コロナで残業代が減ったり仕事を休んだりして収入が減り、家計の見直し方を尋ねるケースのほか、年金への将来不安から老後資金に関する相談も多い」。

 家計の支出は、毎月必ず一定額がかかる通信費や保険料、光熱水費の基本料金などの固定費と、食費や光熱水費の従量料金、医療費といった変動費、貯蓄・投資などに分類され、固定費と変動費がそれぞれ4割ほどを占めるのが一般的だ。

 加藤さんは「1ヶ月ごとの支出を書き出して固定費と変動費に分け、まず固定費から見直すと効果が高い」と説明。利用が少ない会員制のカードなども解約し、その上で食費などの変動費をできる範囲で減らすとよいという。

     家計を見直す手順

①1ヶ月の固定費と変動費を全て書き出す

②効果が高い固定費から見直す

③変動費も減らせる範囲で見直す

     見直す例

    固定費

  • 通信費=携帯電話、スマホの使用料など
  • 保険料=生命保険、車の任意保険など
  • 光熱水費=電気、ガスの基本料金など
  • 住居費=住宅ローンなど

​     変動費

  • 食費=外食費、食材費、嗜好品費など
  • 光熱水費=電気、ガスの従量料金など
  • 保存が利く食料品や日用品はまとめ買いし備蓄

​    その他

  • 不用品を売る
  • 小さい家に住み替える
  • 家庭菜園や健康づくりに取り組む
  • 民間医療保険の入院給付金はコロナによる自宅療養も対象
  • 国のコロナ対策の支援制度を利用する

 

 固定費の費目ごとの見直し方の例を、加藤さんの助言で挙げてみよう。

通信費 … お勧めは携帯電話やスマートフォンの料金見直し。「菅前首相の時に格安プランが増えたが、乗り換えず従来のままにしている人が意外に多い」。実店舗がある業者を選べば疑問点なども聞きやすい。

保険料 … 生命保険料は家族構成や生活の変化に合わせて保障額や特約などを見直す。   「年金生活なら高額療養費制度があるので多額の入院保障などは不要」。自動車の任意保険も車両保険をやめたり、長期契約で割引を受けたりする方法がある。

光熱水費(基本料金) … 電力とガスをセットで契約すると安くなるプランが増えているが、 「深夜電力を使う人だと高くつく場合もある」。電気の使い方を踏まえて比較検討したい。

住居費 …  住宅ローンは金利が既に最低水準なので借り換えても効果薄。「金融機関に返済猶予を求める方法も検討を」。

 

 この他にも加藤さんは、定額制の動画配信サービスやサプリメントなどの定期購入についても「年間では大きな額になる」として見直しを勧める。

 一方、変動費は食費や光熱水費の従量料金などが主な見直し対象となる。外食や嗜好品を減らす、湯船に浸かる回数を減らしシャワーにする、室温を健康維持に維持に必要な18度程度に保つなど、節電・節水を含め様々な方法がある。

 札幌のFP、小川和哉さんは「こうした"我慢の節約"は期間を決め、反動が出ないよう、やりすぎないことが肝心」と指摘する。「例えば食事の回数を減らすと健康を害する恐れがあり、 健康を害すると治療費がかかり本末転倒になってしまう」。また、レトルト食品など保存できる食料品や日用品類は、特売時にまとめ買いして備蓄できればコロナでの自宅療養や災害時の備えにもなる。

 この他にも加藤さんや小川さんが勧めるのは、

  • 家の中を整理して不用品を売る
  • 子供の独立などを機に小規模な家に住み替える
  • 家庭菜園で食材を補う
  • 早寝早起きや運動習慣で健康を維持する

など。ライフスタイルを見直すきっかけにもなるという。

 コロナ関連では、自宅療養になった場合は民間医療保険の入院給付金の対象になるほか、生活資金では国の「緊急小口資金」「総合支援金」「住居確保支援金」などの支援制度もある。 日本FP協会のホームページにある一覧が参考になる。

 

2022年(令和4年)3月21日(月曜日) 北海道新聞 掲載