保険

 日常の様々なリスクに備えるため、多くの人が何らかの保険に加入していることと思います。しかし、必要な 保障や特約が含まれていなかったり、逆に不要な保険によって保険料がかさんでしまったりと、見直すべきポイントがあるかもしれません。

 このページでは、保険にまつわる様々なコラムを掲載 していきます。

時代とともに変化する生命保険

 私たちが病気やけがで治療を受ける際には、通常は公的医療保険制度の対象となる診療(標準治療)を受けます。しかし、重い病気などで標準治療を超えた治療を希望する場合には、選択肢として①先進医療 ②患者申出療養  ③自由診療 ─の三つが用意されています。

 「先進医療」とは、高度な医療技術を用いた治療等のうち、公的医療保険は適用されないが、一般の保険診療と自費診療の併用が国に認められているものを指します。

 今年6月現在、82種類の治療が先進医療に定められています。がんに対する陽子線治療や不妊症に対する子宮内膜刺激術など、道内でも受けられる治療が多くあります。

 「患者申出療養」は2016年に始まった制度です。海外では承認されているものの国内では未承認の薬や治験、先進医療で実施されていない治療を臨床実験として実施します。こちらも保険診療との併用ができます。

 利用するには、主治医に相談した後、国に申し出をします。今年6月現在、がん治療など9種類が登録されています。

 前の二つに該当しない場合は「自由診療」として治療を受けることになります。その場合は保険診療との併用は認められず、全額が自己負担になります。

 医療保険制度の変化に併せて民間の生命保険も進化しています。先進医療などを利用した際の自己負担を軽減するため、保険会社によっては医療保険やがん保険等に「先進医療」特約や「患者申出療養」特約、「自由診療」特約を付加できるようになっています。支払われる金額は保険商品によって異なるため、内容については事前に確認しておきましょう。

 加入者全員に、健康相談やセカンドオピニオンが受けられるサービスを行っている保険会社も多く、病気の際はこちらも利用するとよいでしょう。

2024年(令和6年)7月2日(火曜日) 北海道新聞 おうちの経済 掲載

個人賠償責任保険(特約)に
加入していますか?

 北海道も春を迎え、自転車に乗っている方を多く見かけるようになりました。子どもがスピードを出し過ぎて通行人にケガをさせてしまわないかハラハラしている親も多いと思います。

 そんなリスクをカバーしてくれるのが「個人賠償責任保険」です。日常生活で起こった偶然な事故で他人を死傷させたり、他人の物に損害を与えたことで法律上の損害賠償責任を負った場合に保険金が支払われます。

 この保険は自動車保険や火災保険などの保険の特約として付帯したり、クレジット会社からも加入することができます。保険金額の上限や示談交渉サービスがあるかなどを比較して一つだけ加入し、重複しないようにしましょう。

 また、この保険は被保険者本人だけでなく、同居している家族と別居している未婚の子どもも対象となります。1人暮らしのお子さんが洗濯機の水を溢れさせ、下の階に損害を与えてしまった場合もカバーされます。まずは現時点で加入しているかどうか確認してみましょう。

2024年(令和6年)5月12日(日曜日) 北海道新聞 お金と暮らし 学びのテラス 掲載

高齢者の保険・金融手続き

高齢者が認知症になるなどすると、保険会社や銀行での手続きは困難になります。しかし、家族が事前に代理人登録しておけば、当人でなくても手続きができる仕組みがあります。

医療保険など生命保険を取り扱う保険各社は「指定代理請求制度」を導入しています。入院や手術で保険請求する時、被保険者である本人が請求することが困難な場合、この制度に基づいてあらかじめ定めた「指定代理人」が代わって請求することができます。

最近は保険契約時に指定代理人を登録します。もし古い契約でまだ定めていないのであれば、新たに指定できるか保険会社に確認してみましょう。

もっとも、指定代理人として請求する前提として家族が保険契約の存在を認識していなければいけません。高齢者が加入している保険の一覧表を作り、家族間で共有しておくことが得策でしょう。

銀行でも、預金口座を持つ当人の家族を「代理人」として登録することが可能です。あらかじめ預金者本人が家族を指名して代理人カードを作成し、家族はそのカードで口座から出金して、本人の生活費や医療費、介護費などに充てることができます。

株式や投資信託などを扱う証券会社の証券口座も同様です。事前に代理人登録を行うことで、指定した家族が本人に代わって売却や出金指示などの手続きをすることができます。

保険や預貯金、証券などの金融商品は本人の生活を支える大切なお金ですが、手続きができなければ必要な資金が引き出せなくなり、生活に支障が出てしまいます。また、認知症と診断された後では、成年後見人を立てる必要がありますので、そうした状況になる前に代理人登録を各金融機関で済ましておきましょう。

ただし、金融機関によって取り扱いが異なるので、保険契約や口座を置いている各社にしっかり問い合わせしておく必要があります。

2024年(令和6年)3月12日(火曜日) 北海道新聞 おうちの経済 掲載