その他

家庭・家計に関する様々な時事問題について、より知識を深めるためのヒントを発信します。

「家族のかたち」の変化

「家族のかたち」が多様化するのに合わせて、そうした家族の暮らしを支える仕組みが求められています。

 多様化とは、例えば男女どちらか一方の姓に合わせることに不都合が生じて事実婚(別姓婚)を選んだり、同性婚を選択することなどが挙げられます。しかし、法律婚(男女が法律上要求される手続きを踏んだ婚姻)とは異なり、こうしたケースでは、法定相続人になれない、配偶者控除も受けられないなど、さまざまな不利益が生じています。

 それでも、多様性を受け入れようと、わたしたちの社会は少しずつ実務を変更しつつあります。道内では札幌、函館、帯広、北見、江別、苫小牧の6市がパートナーシップ宣誓制度を開始しています。また、岩見沢市も2月に施行する予定です。この宣誓書受領証があれば、同性パートナーを生命保険の受取人として認める生命保険会社が増えています。

 長期固定金利の住宅ローン「フラット35」は、今月から同性パートナーも連帯債務で住宅ローンを組むことができるようになりました。パートナーのいずれかが死亡または高度障害になった場合に保険金が支払われてローンが残らない「夫婦連生団信」も利用できるようになりました。

 ただ、法律が変わるまでにはまだしばらくかかりそうで、法律婚以外のカップルは万一の場合への備えが必要です。

 例えばパートナーが亡くなった時、残された側が生活に困らないようにするにはどうすればいいでしょう。事実婚では、生計維持関係にあり事実上の婚姻関係にあったと住民票の記載などで証明できれば、遺族年金を受給できます。しかし、同性婚の場合は認められていませんので、互いに遺言書を準備しておく必要があります。

 個々の生き方を尊重する寛容社会は、私たち一人一人が古い考えにとらわれずに制度や法律を手直ししていくことでできあがっていくと考えています。

 

2023年(令和5年)1月24日(火曜日) 北海道新聞 おうちの経済 掲載

マイナ保険証

 マイナンバーカードを健康保険証とするマイナ保険証の登録をした人は今年1月29日時点で約4397万人です。国は4月から、全ての医療機関・薬局でマイナ保険証が利用できるようになるとしていますが、システム導入に時間がかかるため、実際には少し先になりそうです。

 マイナ保険証利用促進のため、国は受診時の窓口負担を従来の保険証より少し低くしています。高額療養費制度に関して市町村や健保組合などが発行する限度額認定証がなくても窓口での支払額を抑えることができるようになりました。

 さらに、確定申告での医療費控除の手続きでもメリットがあります。従来は原則「医療費除の明細書」を作成する必要がありましたが、国が運営する行政手続き情報サイト「マイナポータル」に登録して自分と家族の医療費情報を取得すれば、必要事項は自動入力されます。

 マイナンバーカードを持っている人が保険証として登録するには、スマートフォンやパソコンを使ってネット経由で手続きするか、セブン銀行のATM、マイナ保険証が利用できる医療機関や薬局、市役所の住民向け端末を利用するなどの方法があります。いずれも登録自体はさほど難しくありません。

 一方で、紛失の際の情報漏えいや再発行が心配されています。

 デジタル庁は「カードのIC(集積回路)チップに医療情報は記載されていない。利用の際には顔写真で本人確認することが義務付けられているので不正利用にはつながりにくい」としています。

 紛失については、24時間対応のフリーダイヤルで利用を一時停止することができます。現状、再発行の所要期間は1〜2カ月程度と短くありません。

 現時点では、マイナ保険証を登録した後も従来の保険証を引き続き使用できますので、しっかり保管しておく方がよいでしょう。

 

2023年(令和5年)2月21日(火曜日) 北海道新聞 おうちの経済 掲載

給与のデジタル払い

 スマートフォンのアプリからバーコード読み取りなどで支払いをするスマホ決済。これを担う「資金移動業者」を介し、会社が電子マネーで給与を支払う「デジタル給与」が4月に解禁されました。

 これまで労働基準法は、給与は労働者に現金で支払うと定め、会社と労働者が同意すれば金融機関の口座へ振り込むことも認められていました。デジタル給与の登場は、給与のあり方の大変革と言えるでしょう。厚生労働省は現在、資金移動業者の認定を進めているところで、実際に電子マネーで給与支給する会社が登場しているわけではありません。また、前提として労使協定と従業員の同意が必要です。

 賃金を受け取る側からすると、一部のみデジタル払いにし、残りを銀行口座で受け取ることも可能です。普段からスマホ決済による買い物が多い人は、自らチャージする手間が省けるメリットがありますし、ポイント還元があれば、お得に使えることにもなります。

 一方、賃金をデジタル払いで受け取ると、お金の管理が複雑になることが考えられます。デジタル口座の上限は100万円とされているため、それを超え額は指定している銀行口座に自動的に出金されるので、給与収入全体が把握しづらいのです。これでは、計画的にお金を使うことが難しくなる可能性があります。

 指定資金移動業者が破綻した場合、保証機関から弁済を受けることができますが、自分の過失によって不正利用された場合は個別の対応となります。パスワードをきちんと保管するなど、自分でセキュリティーを高めておく必要があります。

 デジタル給与を上手に管理するには、家計簿アプリを利用するとよいでしょう。アプリを銀行口座やデジタルマネーとひも付けることによって自動的に入出金が記録され、それぞれの残高も一元的に把握することができます。

 

2023年(令和5年)4月18日(火曜日) 北海道新聞 おうちの経済 掲載

離婚前に考えたいお金の話

  「離婚の際にお金について何も取り決めなかったために、その後の生活が苦しくなった」という相談を受けることがあります。後悔しないためには、具体的にどんなことを話し合えばいいでしょうか。

 扶養する子供がいる場合は、養育費について取り決めます。子供の数と父母の年収に応じた算定額を裁判所が公表していますので、これを基に話し合うといいでしょう。子供が成人するまでの取り決めが多いですが、今は大学への進学率も上がっていますので、卒業するまでの学費も考慮しなければなりません。養育費については口約束にせず、公正証書を作成してください。

 また、離婚時の年金分割は2種類あります。一つは「3号分割」で、専業主婦(夫)など国民年金第3号被保険者だった方からの請求で行います。2008年4月1日以降の婚姻期間中の相手方の厚生年金記録を2分の1ずつ分ける方法で、相手の合意がなくても可能です。もう一つは 「合意分割」で、互いに合意するか裁判で決まった割合で、婚姻期間中の厚生年金記録を分割する方法です。請求期限はいずれも離婚してから2年以内となっています。

 離婚時の財産分与でトラブルになりがちなのはマイホームの問題です。離婚時に一方が取得したとしても、ローンの返済が滞れば手放すことにもなりかねません。また、連帯保証人や連帯債務者になっている場合は離婚しても債務の責任が残りますので、現時点でのローンの残額や売却した場合の評価額なども合わせて調べておく必要があります。

 相手に離婚の非がある場合は慰謝料を請求することができますが、一般的には100万〜300万円と多くはありません。離婚後の生活設計については自分でしっかり考えていくことが大切です。自分一人で解決できないと感じたら、FPや弁護士に相談してみてください。

2022年(令和4年)5月3日(火曜日) 北海道新聞 おうちの経済 掲載